インターネットに夢を見ない

僕の思い出とか、思ったこととか書く。

高校生の頃に新聞配達をしていた話

高校生の頃の僕はバンド活動に夢中でした。
バンド活動にはお金がかかります。
楽器代、練習スタジオ代、ライブ出演や企画の為の費用…。
お小遣いやお年玉貯金だけでは、もう全然足りないのです。

バイトをしなくては…。

しかし、僕の通っていた高校ではバイトが原則禁止となっていました。
家庭の事情がある場合のみ認められるらしい。(ちゃんと調べたわけではないけど)

でもバイトがしたい!
したいったらしたい!!
したい!したい!したいもん!!

駄々をこねる僕を見かねてか、父がどこからか新聞配達のバイトの話を持ってきてくれました。
僕の住んでいた地域では夕刊配達という文化はなかったので、朝刊のみの配達です。高校からかなり離れた地区でもあるのでまず学校にバレることはないでしょう。
校則違反にはなるけど、仕方ない、バンド活動の為にどうしてもお金が必要だったんです。
僕、新聞配達やります。

まずは僕の雇い主のおじいちゃん宅へご挨拶に伺います。
まずは僕が配るべきエリアの地図を渡されました。
まず初日はそのおじいちゃんと軽トラに乗って一緒に配っていきました。
いわゆる研修ですね。
自宅の近くばかりだし、地図もあるしで、すぐに配る家を覚えたので2日目からは一人で配ることになりました。
大体朝4時くらいになると自宅の前に、僕が配るべき新聞を、雇い主のおじいちゃんが置いていってくれます。
それを僕は自転車のカゴに入れてどんどん配っていくわけです。
だから起きてすぐに働き始める感じですね。

それからは毎朝、新聞配達をします。
休刊日(月に1回くらい)以外に休みはありません。
元旦だろうがお盆だろうが配ります。
この新聞配達は高校を卒業して上京する直前の3月末まで続けました。

慣れてくると配るエリアも件数もどんどん増えていって、最終的には朝4時~6時までの2時間配っていました。
それで月に2万円くらいもらってましたね。
給料日になると雇い主のおじいちゃん宅へ伺って封筒でお給料をもらうわけです。
振込もいいけれど、こうやって現金を封筒で渡されるのが僕は好きでした
しかし…。
60時間(毎朝2時間×30日)で2万円か…。
時給にしたら333円。
当時は時給とか何にもわかってなかったので「やっほい!毎月2万ももらえる!」とはしゃいでいたけれど。
でもさすがに時給低くない!?


でも新聞配達自体は僕は結構好きだったんですよ。
早起きもすぐに慣れたし、朝の丁度いい運動って感じでした。
6時に配り終えて、帰宅してシャワーを浴びて、しっかり朝ごはんを食べるっていていう健康的な生活を送っていました。大体22時頃には寝てたし。
全然

…ただですね、超田舎ならではの新聞配達の苦悩があるんです
特に嫌だったことは、断トツでこれです。

野犬に追われる

とあるエリアにいるんです、野犬が。
そのエリアに朝に入ると野犬が追ってくるんです。
自転車を必死にこいでそのエリア(縄張り?)から出ると追ってこなくなるんですけど。
途中からは、僕に慣れたのか全然追われなくなったけど、それまでは本当に命懸けでした。
あれ追いつかれてたらどうなってたんだろう…。

次に嫌だったのは、
山の奥の誰も住んでいないようなボロ家に新聞を届けること。
僕の住んでいた場所は本当に田舎なんです。
徒歩数分で海、山、川があって、本当に自然に恵まれた素敵な場所です
参考までに、僕が新聞を配っていたエリアの写真です。


こんな感じなので、とにかくもうボロ家が多いんです。
新聞配達をすることになって「え?ここ人住んでたの?」と知ったボロ家が何件もあります。
で、その中にいくつか、本当に幽霊が出そうな、包丁研いでるおばあちゃんがいそうな雰囲気の家があるわけです。
そんな家にも新聞を届けなくてはいけないのです。
朝4時のまだ真っ暗な山の中って風の音が凄く怖いんですよ。
後ろを振り返ったら何かいるね、死ぬね。っていう雰囲気がとにかく凄いんです。
大袈裟とかじゃなくて本当にもう怖いんです、嘘だと思うのならとりあえず行ってみてほしい…!
そんな空気の中で「幽霊屋敷かな?」みたいなお宅へ新聞届けるのが凄く嫌だったんです。
さっきから家の人に凄く失礼なこと言ってるけど。

当時、僕は「着信アリ」というメチャクチャ怖いホラー映画を見てしまったので、それからが特に怖かったです。
あんなの見るんじゃなかった。


そんな怖い思いをしながらも楽しく新聞配達をしてました。
大雪の中必死に配ったり、強風で配るべき新聞が飛ばされたり、ギックリ腰になったり、年越しで友達と神社に行ったその足で元旦の新聞配達をしたりとか、色んな思い出があります。
全部、楽しかったです。

僕に新聞配達をさせてくれたあのおじいちゃんに凄く感謝しています。
あのおじいちゃんは何者なのか、そもそも父はどこからこの話を持ってきたのか、など今でも知らないことだらけなのですけど。

そんな新聞配達のお話でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。